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「雨をみたかい」〜ブログネームの由来〜 [詩]

だいぶ前のある日、レイン家の父と娘の会話。

テレビでは車のコマーシャル。音楽が流れている。曲はC.C.Rの「雨をみたかい」。
父 「♪〜Have You Ever Seen The Rain〜?」
娘 「あれ、パパなんでこの曲知ってんの?」
父 「パパが今のお前くらいの年の頃はやった歌だよ。C.C.Rっていうアメリカのバンドの「雨を見たかい?」って言う曲さ。」
娘 「ふーん、雨を見たかい?ってへんなの。日本なら雨はいやんなるほど降るのに。アメリカ人て雨見たことないのかな。」
父 「雨と言ってもただの雨じゃない。Comig down on a sunny day.「晴れた日に降る雨を」という歌詞が続くから、この雨は天気雨ってことがわかる。」
娘 「天気雨だって珍しくないよ」
父 「これには深い意味があるんだ、良ーく聞きなさい。」

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熱気球 空へ [詩]


バーナーが点火される
バルーンがゆっくりふくらみはじめる
球皮がはち切れそうになったら
ロープを空に解き放とう

熱気球に乗り空高く
風の向くまま空中散歩
針葉樹林のはてにある
碧い湖が見えるまで

空の上では何もかも
地面のことなど忘れてしまい
このままずっとのぼり続けたら
あのイカロスになれるだろうか

太陽に近づきすぎて
堕ちたイカロス
いつしか終わる空の旅
やがて地面に戻る時

地上に戻るその瞬間が
いつまでも来なければいい
めくるめく空中浮遊の感触は
地上のものではけっしてない


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中秋の名月 [詩]

今晩はお月見です。

心配していた雲はなく、十五夜の月が中空に浮いていました。

ベートーベンがピアノソナタ「月光」を作曲したときもこんな情景だったかもしれません。

ごちゃごちゃした下界を照らす光は凛として冴え渡っています。

一昨日の月http://blog.so-net.ne.jp/ichidigi_photogallery/2005-09-16と比べると、たしかにまんまるてす。

すすきやおそなえを用意した甲斐がありました。

今宵の詩も中原中也です。

お道化うた

月の光のそのことを、
盲目少女(めくらむすめ)に教へたは、
ベートーエンか、シューバート?
俺の記憶の錯覚が、
今夜とちれてゐるけれど、
ベトちやんだとは思ふけど、
シュバちやんではなかつたらうか?

霧の降つたる秋の夜に、
庭・石段に腰掛けて、
月の光を浴びながら、
二人、黙つてゐたけれど、
やがてピアノの部屋に入り、
泣かんばかりに弾き出した、
あれは、シュバちやんではなかつたらうか?

かすむ街の灯とほに見て、
ウヰンの市(まち)の郊外に、
星も降るよなその夜さ一と夜、
虫、草叢(くさむら)にすだく頃、
教師の息子の十三番目、
頸の短いあの男、
盲目少女(めくらむすめ)の手をとるやうに、
ピアノの上に勢ひ込んだ、
汗の出さうなその額、
安物くさいその眼鏡、
丸い背中もいぢらしく
吐き出すやうに弾いたのは、
あれは、シュバちやんではなかつたらうか?

シュバちやんかベトちやんか、
そんなこと、いざ知らね、
今宵星降る東京の夜(よる)、
ビールのコップを傾けて、
月の光を見てあれば、

ベトちやんもシュバちやんも、はやとほに死に、
はやとほに死んだことさへ、
誰知らうことわりもない……

詩集「在りし日の歌」より


蜂と睡蓮 [詩]

天気が良かったので、フラワーセンターに行きました。
池には睡蓮が咲いていました。
秋の陽が水面にきらきら反射しています。

睡蓮の花の中心の蘂で囲まれた中には水が溜まっていて、蜂が一匹落ちていました。
ぬれているのでなかなか這い上がれません。
孫悟空がお釈迦様の手のひらでもがいているような光景です。
そうこうするうちにやっと這い出して、翅を少し乾かしてから飛び立っていきました。

ただそれだけの話ですが、昨日に続いて思い出した詩をご紹介します。
金子みすずの「蜂と神さま」です。

 蜂と神さま

蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。

さうして、さうして、神さまは、
小ちゃな 蜂のなかに。

[9月17日 神奈川県立大船フラワーセンターにて撮影]


十三夜の月 [詩]

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
——あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
——けれど漕ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。


月が凛としてとてもきれいだったので

中原中也の「湖上」という詩を思い出しました。

もうすぐお月見てすね。

そろそろすすきを探してこよっ〜と。