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国立西洋美術館の「松方コレクション展」 [美術館散歩]

上野にある国立西洋美術館はどういう経緯でできたのか?
なぜフランス人建築家のコルビュジェの設計だったのか?
国立西洋美術館にモネやロダンの作品がたくさんあるのはなぜか?
こうした疑問に答えてくれるのが、現在開催中の「松方コレクション展」(9/23まで)です。

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松方コレクションは、日本の実業家で川崎造船所(現川崎重工業)の社長だった松方幸次郎が、大正初期から昭和初期(1910年代から1920年代)にかけて築いた美術品コレクションです。当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。

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しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、コレクションは流転の運命をたどります。日本に到着していた作品群は売り立てられ、ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、さらに他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。戦後、フランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、1959年、国立西洋美術館が誕生したとき、ようやく松方コレクションは安住の地を見出したのです。

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開館60周年を記念したこの展覧会では、名高いゴッホ《アルルの寝室》(オルセー美術館蔵)や、2016年に発見されたモネの《睡蓮、柳の反映》など国内外に散逸した名品も含めた作品約160点が再結集します。
現在、松方の浮世絵コレクションは東京国立博物館に所蔵され、本展とタイアップし、9/23まで展覧会が開催されています。

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実業家の松方が美術品収集を始めた経緯は諸説ありますが、本人の語るところによると、「日本人の多くが西洋美術に馴染みがなく、美術館もない。日本の多くの画家のために西洋美術の本ものを集めて送ってやろう。」と考えたからだったようです。
美術品蒐集の早い時期から松方には自前の美術館「共楽美術館」の構想が芽生えました。松方のその夢は実現できませんでしたが、戦後フランス政府に接収されていたコレクションが返還されるときの条件として国立フランス美術館の創設、フランス政府が指名したル・コルビュジェを建築設計者としました。
松方の美術館への思いは形を変えて実現したと言えるでしょう。

ロダン作「地獄の門」
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松方コレクションにモネやロダンの作品が多いのにも理由があります。
松方は画廊を通した蒐集もしましたが、芸術家に直接コンタクトを取り会いに行ってその場で作品を買い上げることもしていました。
モネのアトリエにもたびたび訪れています。

考える人
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松方のパリにおける美術品の収集アドバイザーだったレオンス・ベネディットはロダン美術館の館長でした。ベネディットを通じ松方はロダンの代表作を鋳造させ一括購入しています。パリを中心に買い集められた絵画や彫刻400点は、第二次世界大戦までロダン美術館の旧礼拝堂に保管されていました。

最後に、クロード・モネの幻の大作、「睡蓮、柳の反映」について。モネが1916年に製作した油彩画で、ルーブル美術館内の収蔵庫で2016年に発見されました。破損がはげしく、上半部が欠損していましたが、国立西洋美術館が昨年から1年間かけて修復作業を実施し本展で初公開されました、

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この絵がロダン美術館に預けられていた時代に撮影されていたガラス乾板が、2018年に発見されました。その白黒写真を元に推定復元されたデジタルデータも公開されています。

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約100年の時を経て再結集した「松方コレクション展」。
必見の展覧会です。

[8月10日撮影]
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